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ミステリの祭典

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南紀・伊豆Sの逆転
壮&美緒

作家 深谷忠記
出版日1991年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2014/10/07 23:42登録)
タイトルどおり和歌山県南部と静岡県伊豆半島を舞台にした作品で、それらの地方の情景がなかなか丁寧に書きこまれています。最初の殺人は和歌山の方で起こり、警察の捜査が進む一方、探偵役の黒江壮とその恋人笹谷美緒は伊豆下田でくつろいでいるところが交互に描かれます。
それにしても、タイトルに「逆転」が付くのはこのシリーズでも謎解き度の高い作品なのでしょうか。全体的な事件構造もかなり複雑ですが、アリバイ・トリックはクイーンの某有名作のバリエーションで、この原理を目撃者の証言に利用しているのには感心しました。ただし不満点もあります。その証人の記憶がどの程度明確かについて、不安要素が多分にありますし、腕時計の使い方はあまりに不自然でしょう。第3の「逆転」については、壮が謎を解き明かさなくても、犯人は自白せざるを得なくなっていたのではないかとも思えてしまいました。

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