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ミステリの祭典

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横浜・長崎殺人ライン
壮&美緒

作家 深谷忠記
出版日1988年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2015/07/03 22:32登録)
作者の言葉にもありますが、この壮&美緒シリーズ第8作は、趣向を変えて二人が脇役に回った作品です。主役は神奈川県警の薬師寺警部補。しかしほとんど観光案内的な旅情は相変わらずで、港の見える丘公園はともかく、長崎の町はかなりていねいに描かれています。
真相の大筋は簡単に見当がつくとは言え、論理的整合性に優れていて、好感が持てます。被害者の身元を一時的に隠した理由に説得力がありますし、プロローグの意味も最後の方になってわかります。
しかし、全体の6割過ぎあたりで思い込みを打ち破る発想を壮が示唆するのはいいのですが、その後アリバイ・トリック解明のヒントまで壮にもらうというのでは、薬師寺刑事たち頭が悪すぎだと思えます。また犯人逮捕については、現代日本で(30年近く前の作品ですが、法的原則は現在と同じです)こんなことをしてはダメでしょう。それでマイナス1点。

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