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ミステリの祭典

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探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望
《探偵の四季》シリーズ

作家 岩崎正吾
出版日2000年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2021/03/02 22:22登録)
(ネタバレなしです) 金田一耕助シリーズのパロディ、ドルリー・レーンシリーズのパロディと続いた「探偵の四季」シリーズの2000年発表の第3作となる本格派推理小説です。今度はシャーロック・ホームズシリーズのパロディーとなっています。日本人なのに記憶を失った上に自分をシャーロック・ホームズと思い込んでいる男と、やはり日本人なのに「ホームズ」に合わせてワトソン博士を演じる精神科医の「わたし」を中心に物語が進みます。長編というより連作短編的であり、「光頭倶楽部」「イヌの事件」そして「まだらのひもの」と物語が進むにつれ、ある悪の存在(実は探偵コンビとはプライヴェートの関りがある)が全ての事件の背後にいるのではと疑惑は膨れ上がります。「まだらのひもの」では馬鹿トリックに近い密室トリックに驚きましたが、謎解き以上に印象に残ったのは人間ドラマの行く末のような気がします。なるほどこれはタイトルに「絶望」を使っただけのことはありますね。ところで「作者あとがき」で「残りは春」と意識はしていたみたいですがその後20年以上経ってもシリーズ第4作が発表されていないのが心残りです。

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