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ミステリの祭典

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謀殺の火

作家 S・H・コーティア
出版日2005年04月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 nukkam
(2015/04/03 18:50登録)
(ネタバレなしです) 1967年に書かれた本書はシリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。論創社版の「緻密な推理」という評価には首をかしげざるを得ません。ある登場人物が述べるように、「不正確で、限られたことしかわからなかった」推理であり、仮説の域を脱しきれていないように思えます。とはいっても非常に大胆で魅力的な仮説で、決して本書は凡作ではないと思います。序盤は事件の紹介が細切れになり過ぎてわかりにくかったり、登場人物の大半が生身の人間として登場しないので(その言動は手紙や新聞記事の中で伝えられるのみ)その性格が把握しづらいなど欠点も多いのですが、読むだけの価値は十分にあると思います。

No.1 6点 mini
(2008/11/03 11:33登録)
今では数も増えた論創社ミステリーの中で、論創限定でベスト10を選ぶとしたら、どうしても入れたい一冊がある
それがS・H・コーティアの「謀殺の火」で、オーストラリアの大自然を背景にしたオージー・ミステリーの中でも本格派と言えるだろう
「謀殺の火」はものすごく個性的な話で、なんと終盤を除く物語全体の九割方において、登場人物が一人しかいないのだ
もちろん登場人物一覧表には総計20名もの名前が載っている
しかしそれらのほとんどは、過去回想や伝聞推定、あるいは手紙書簡日記の類や記録簿の中でしか出てこない
つまり具体的に現実の眼前の舞台に出てくる実体のある人間がほとんど一人しか登場しないという意味なのだ
本格でこんなパターンの作品は初めて見た

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