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ミステリの祭典

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法律事務所

作家 ジョン・グリシャム
出版日1992年07月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点
(2010/03/11 10:51登録)
グリシャムの出世作、代表作です。当時、原作も映画も流行りました。その後の数々の作品も映画化され売れたので、それらみな代表作ともいえます。スティーヴン・キングやシドニィ・シェルダン、ジェフリー・アーチャー(今のダン・ブラウンもそうなのかな?)などと同じように、出せば当たり映像化もされる、そんな作家です。いまでもグリシャムは人気作家にはちがいないですが、国内では当時ほどの人気はないのでは、と思います。

本書は、主人公である新米弁護士の大胆な行動と、それによるスピード感とサスペンス溢れる展開に尽きます。逆に言えば、それ以外にはなんらの深みもなく、数年経てば詳細な内容はもちろん、感動したことすらも忘れてしまう、そんな作品です(米国の弁護士事情がわかったことが意外に記憶に残っていますが)。でも、エンターテイメント作品(ミステリー)なんてものは、その程度でも刹那的には十分に楽しめるので何の問題もありません。でも、ミステリーの中にも、ストーリーは忘れてしまっても、いつまでも感動や余韻を残してくれるような作品がたまにあります。そういう作品が8点~10点の対象です。

No.1 7点 mini
(2009/03/04 10:03登録)
リーガルスリラー御三家のうちシリアス派の横綱がトゥローならば一方のエンタメ派の極がきっとマルティニやグリシャムなんだろうな
同じエンタメ派のマルティニも先に書評を書いたけど、比較すると作風はかなり違う
マルティニの場合は一応黒幕的な真犯人の正体を最後まで隠しており本格としても読めるようになっている
グリシャムは時代劇みたいに悪党の正体を早い段階でさらけ出してしまい、謎解き要素なんてゼロ
こう聞くと本格主義な読者などは、それなら絶対にマルティニの方が面白いと予想するに違いない
しかし断然面白いのはグリシャムの方なのである
文章的にもマルティニは大袈裟な比喩で癖のある文体に一々引っ掛かったが、グリシャムの文章は素直で上手くて読み易い
翻訳は両方同じ白石朗だから訳文の問題ではない
物語展開もマルティニは次々に出来事が起こりいかにも面白そうなのだが、序盤から事件が頻発し過ぎてかえって全体が単調になっている
グリシャムは全体としての起承転結なので後半にならないと動きはないが、書き方が上手いのだろうか前半からサスペンスが持続し、後半などは本を置く事すら出来ない
私の乏しい読書歴ではこんな面白い小説は滅多に無いと思ったしベストセラーになったのも肯ける
あ、それから法廷場面は一切無いですからね
一口に弁護士と言っても主人公は刑事関連の法廷弁護士ではなく、税務関連の事務弁護士だもんね
あくまでも舞台は法廷ではなくて法律事務所の中
弁護士が登場するだけで裁判小説では全く無いというのはリーガルスリラーにはありがちらしいので、この分野に法廷シーンだけを期待しない方がいい
余談だけど映画ではトム・クルーズ主演だったそうだが、ハーバード大卒の秀才という設定と似合わないな
でも物語として見ると適役なのかも知れん

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