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ミステリの祭典

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殺意の夏

作家 セバスチアン・ジャプリゾ
出版日1980年09月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点
(2023/06/26 22:46登録)
フランスの「独創的な小説」に贈られるドゥ・マゴ賞の1978年度受賞作です。作者自身の脚色によるイザベル・アジャーニ主演の映画(1983)もヒットしました。視覚的な悲しいショッキング・シーンで終わる映画に対し、原作はていねいな真相解説の後、しみじみとした味わいを残します。
ただ初版本翻訳には問題があります。フロリモンの愛称はピーポーとされていますが、Wikiフランス語版等では Pin-Pon(パンポン)、まあこれは擬音語を翻訳したのでしょうが。「ドラアエ」は、ドライエで検索できる自動車メーカーDelahaye。「手回し風琴」は自動ピアノで、映画ではタイトル・シーンから出てきます。また、エリアーヌは「エルとか、あれと呼ばれていた」と書かれていますが、フランス語の "elle"(エル) は英語のsheの意味、つまり「彼女」です。他にも原文はどうなっているのだろうと疑問に思った所がいくもありました。

No.1 6点 mini
(2009/07/27 10:04登録)
* 夏だからね(^_^;) *
1作だけのイメージで語られてしまう不幸な作家はよく居るが、ジャプリゾも「シンデレラの罠」しか読まれていない風潮があって、トリッキーな作家と誤解されてるようだ
全体としては普通にサスペンス作家らしいようで、そもそも「シンデレラの罠」だって一人四役という宣伝文句で本格を期待して読む読者が多いが、あれはどう見てもサスペンス小説でしょ
作者自身もミステリーとして書いたのは初期の2作だけだと語っていたし、「シンデレラ」以外の作の方が作者の本質である可能性が高いが、実際「殺意の夏」を読むとそう思う
一般文学として書かれたような感じだが、ミステリー小説だとも言えなくは無い
あるガイド本では最高傑作とあったが、その評価分かるし、この作品こそ作者の本質なんじゃないかな

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