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ミステリの祭典

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度胸
競馬シリーズ

作家 ディック・フランシス
出版日1968年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 E-BANKER
(2014/03/03 21:59登録)
1964年発表。原題“Nerve”。
「本命」に続く競馬シリーズの第二長編作品。

~イギリスでも有数の騎手アート・マシューズがこともあろうに競馬場のパドックの中央で血しぶきをあげて自殺を遂げた。銃声はパドックにとどろき、スタンドの高い壁に反響した・・・。アートの死が引き金となったかのように次から次へと自殺し半狂乱に陥り、おちぶれていく騎手たち。彼らを恐怖のどん底に追いやる“怪物”の正体は何なのか? あまりに残酷な戦慄すべき競馬界の内幕を描き書評子をうならせた衝撃の作品~

よくまとまってる・・・そんな印象。
処女長編「本命」はサスペンス要素よりも本格ミステリーを彷彿させる「謎解き」要素が目に付いたが、本作ではそういった要素は薄い。
騎手たちを汚い手段で次々と貶めていく真犯人については、中盤過ぎにはほぼ明らかになってしまう。
(最後にドンデン返しがあるのかなと邪推したが、それはなかった・・・)

主人公で騎手であるフィンも真犯人にたどり着くのだが、手痛いしっぺ返しを食らうハメになるのだ。
そこからはサスペンスフルな展開が続き、九死に一生を得たフィンが逆に真犯人を罠にかける展開。
この辺りは前作でもあったプロットであり、サスペンスものの王道だろう。
最初は自分の腕に自信のない三流騎手だったフィンが、事件を通して一流騎手に育っていく姿も好ましい。

ただ、どうだろう?
ちょっと予定調和過ぎるかなという印象は残った。
グイグイ読ませるし面白さも十分なのだけど、反面ちょっとインパクトに欠けるのは間違いない。
差し引きすると、水準+αという評価が妥当のような気がする。
(障害騎手って怪我が絶えないんだろうなぁ・・・)

No.1 7点 mini
(2009/01/26 10:39登録)
初期の作で人気なのはシッド・ハレー初登場の「大穴」か、トリック愛好家に受けそうな「興奮」あたりだと思うが、悪役の個性という点で強い印象を残すのは「度胸」だろう
上記の三作のどれが一番好きかによって読者のタイプが三者三様に分かれるような典型的な三作ではないかな
三作の中ではヒーローものが好きな人には「大穴」、トリック愛好家にはやはり「興奮」が好まれるだろう
個人的には気品と格調の高さで第1作の「本命」なども捨て難いとは思うが
「度胸」はフランシスにしては気品に欠けるが、ねちねちといやらしい悪役の強烈さは忘れ難い印象を残す
私は未だフランシス初心者だけれど、読み込んでるファンの間では「大穴」や「興奮」よりもこの「度胸」を初期の代表作に挙げるファンは多い
私もあまり入門向きには思えない「大穴」などよりも、「度胸」から入門する方がベターな選択ではないかと思う

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