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ミステリの祭典

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明日なき二人
ミロ、シュグルー

作家 ジェイムズ・クラムリー
出版日1998年08月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点
(2010/12/11 10:37登録)
ミロがシュグルーを探しているところから始まる本作。
この二人の初共演が話題になった作品だそうですが、クラムリーを読むのは本作が初めてなので、そこは何とも言いようがありません。全体としてはミロの方が主役。しかし二人ともただ酔いどれというだけでなく、ヤクもかなりやっていますね。
チャンドラー以上にプロットを軽視したスタイルで、二人が何のために行動しているのか、その根本であるはずのところを忘れてしまうようなところがあります。さらに真相への到達は完全に偶然に頼っていたり、いつの間にか適当に判明してしまっています。ハードボイルドと言っても、ロス・マク系の理性派が好きな人には嫌われるかもしれません。個々のインパクトある場面の寄せ集めというか。文体によるこのインパクトがすごいわけです。
バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー監督の西部劇『ワイルド・バンチ』のタイトルも出てきますが、砂漠地帯が主要舞台なこともあり、ひりひりするような乾いた感じは、確かに通じる雰囲気があります。
文章が凝っていて、読み進むのが意外に大変でしたが、それだけに充足感もたっぷりです。

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