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ミステリの祭典

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沈黙のセールスマン
アルバート・サムスン

作家 マイクル・Z・リューイン
出版日1985年10月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 ROM大臣
(2021/09/01 13:28登録)
仕事もなく、金も底をついてきたサムスンを訪ねた一人の依頼人。彼女は、勤務先の製薬会社の爆発事故で入院した弟の面会が許されないのは何故かを調べてくれと言う。
とかく人の命が軽視されがちなミステリというジャンルにおいて、この作品はその重さを痛切に感じさせると同時に、他人の命を己の利益のために平然と利用する犯人の恐ろしさをも静かに語っている。犯人がありふれた人物として描かれているだけに、動機の不気味さが一層身近に感じられる。

No.1 7点
(2014/05/07 00:09登録)
次作『消えた女』では間近な問題となっていた事務所兼自宅のある建物取り壊しは、本作でもすでに予定されていたんですね。今回の話に華を添えるのはサム。アルバート・サムスンの娘(の愛称)です。12年ぶりの再会という設定で、私立探偵の認可も受け(簡単に受けられるものなんですね)、助手を務めることになるのですが、なかなかチャーミングに描かれています。
そういった華だけでなく、本作では事件そのものも病院の研究施設を舞台に、おもしろく仕上がっています。悪役はほとんど最初からわかっているのですが、事件の蔭に隠されていた秘密は意外で、途中でその一端を明かしてみせた後のひねりなど、良くできていると思いました。
むしろソフトボイルドな探偵サムスンが、自分自身でその行動に「愕然としていた」というほど彼らしからぬ無茶なことをしてくれるシーンもあります。

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