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ミステリの祭典

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八一三号車室にて

作家 アーサー・ポージス
出版日2008年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点
(2022/08/03 20:36登録)
第一部ミステリ編、第二部パズラー編、それぞれ13編ずつ収められています。
表題作は第二部の最初に置かれていますが、このタイトル、しかも作者はステイトリー・ホームズのシリーズ等パロディ、パスティーシュを得意とする人であってみれば、オチは当然予測が付きます。全体的に見てちょっと残念なのが、パロディ系がこの1作だけということでしょうか。もう1編、『誕生日の殺人』もそう言えないことはないのでしょうが、むしろ意外性演出のための引用といった感じで、ミッシング・リンクのとんでもなさが印象的です。第二部は、『誕生日の殺人』以外、すべて不可能興味のハウダニットです。
第一部はサスペンスに分類されるものが多いですが、ハウダニット要素のない倒叙もの(犯行の証拠探しタイプ)もありますし、最後の方にはSF2編、ホラー2編も含まれています。

No.1 6点 mini
(2015/10/12 10:21登録)
* 私的読書テーマ”生誕100周年作家を漁る”、第9弾はアーサー・ポージスだ

短編の名手の1人アーサー・ポージスを私が最初に読んだのは、アンソロジーに収録されていた「イギリス寒村の謎」である、探偵役セラリー・グリーンが登場する国名シリーズのパロディ、いやパロってるのは題名だけで殆どギャグである
あぁポージスってこういう作家なのかとその時は思ったのだが、あらためて短編集を読んでみると、「イギリス寒村」はかなり極端な作だった
ただしどの短編にもお笑い精神は有るようで、一見すると真面目な謎解きものでさえも、使用されるトリックにはパロディ気分を感じる

解説で森英俊氏も指摘しているように、元々が数学者であるだけにポージスは典型的な理系作家である、それはトリックや謎の性質でも明らかで、例えばエネルギー保存則が絡む殺害方法などはいかにも理系的発想だ
ただトリックの発想自体、例えば動物を使いたがるとか凶器の鈍器が重過ぎての不可能状況などのパターンを使い回している作が数編見られたのは気になった

ポージスを他の短編作家と比較するならE・D・ホックとジャック・リッチーかな
ホックは短編でもプロットがしっかりしているが、その点ポージスはアイデアやトリック一発勝負な感が強い、その意味ではトリックにしか興味が無く馬鹿々々しいトリックも笑って許せる読者には合うかも
リッチーとの比較では、ポージスにはリッチーで感じるペーソスや情趣のような感性が欠けているので、良く言えば読んだ後も何も残らない清々しさはある

全体が犯罪小説などの非パズラーを集めたミステリー編とパズラー編とに分かれているが、どちらも出来栄えに差は無い
集中ベストはミステリー(非パズラー)編だと「完璧な妻」と、あと偶然の使い方が命中する「跳弾」なども面白い
パズラー編では何と言っても表題作、あの作家のあの短編集は既読だったのになぁ、あの異名が出てきても私は気付かなかった、やられた(苦笑)

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