長く冷たい眠り |
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作家 | 北川歩実 |
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出版日 | 2007年06月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 虫暮部 | |
(2024/10/10 12:02登録) 基本的には人物描写の上手さとミステリ的な端正さが両立していると思う。馬鹿な相手に苛立つ気持がガンガン伝わって来た。謎の通奏低音をうっすらと見せつつ、ラストで全体を一つに纏めないのが寧ろナイスな選択。 しかし特に後半、話を複雑にし過ぎだ。それも、読者に読み解く楽しみを与えるような絡み合い方ではなく、複数の関係者の思惑のズレを整理し切れなかったと言う感じ。しまいには辻褄も合わなくなっている。 「素顔に戻る朝」。“いなくなっても、不審を持つものは、おそらく誰もいない” ような相手を殺してしまい、死体を隠した。だったら、入れ替わりをする必要は無いのでは。 「凍りついた記憶」。“二、三千万も出すっていえば、喜んで乗って来る” と言う話だったのに、何故かほぼ全額払っている。そしてそれを改めて横取りする為に人殺しまでしている。二度手間である。 |