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ミステリの祭典

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夢の10セント銀貨

作家 ジャック・フィニイ
出版日1979年02月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 クリスティ再読
(2022/06/09 08:46登録)
「ゲイルズバーグの春を愛す」収録の「コイン・コレクション」を長編化した多元世界ネタのファンタジー。なんだけども、評者とかアメリカ人に対して一番「...ノレない」と感じるような要素が全開。なので低評価とします。フィニイらしい語り口の話で、短編の「コイン・コレクション」はそういう「イヤなアメリカン」要素抑え目で悪くはなかったのだが。

うだつの上がらないサラリーマンのベンは、妻のヘティとの関係もこじれだしていた...ある日、ポケットにまぎれこんだ「ウッドロー・ウィルソンの肖像の10セント銀貨」をニューススタンドで使ったことで、並行世界にフリップしてしまう。そちらの世界ではベンは大立者のビジネスマン。知り合いながら結婚し損ねたテシーと結婚していた。しかし幼馴染のカスターと結婚しているヘティの姿を見て、ヘティへの恋心が再燃。元の世界に戻るが、ベンに呆れたヘティは別居→離婚から、やはりカスターと婚約していた! 両方の世界でヘティを喪うベンは事態打開のために奮闘するが....

こんな話なんだけども、ヘティに執着するベンがガチのストーカー気質で、アメリカン・ジョーク風のアプローチがマジうざい。こんなにシツコくしたら、絶対嫌われるよ...と思うんだが、ここらは彼我の差、時代の差というものだろうか。大金を用意しなければいけなくなったベンは、元の世界で常識になっている発明で、並行世界で知られていないものを自分が発明したフリをして持ってくるのだが、これが全然、ウケない。そんな安易な手段で金儲けしようという根性が評者は許せんよ(苦笑)

最後のトライアルが凄くバカっぽいのが読みどころ?

うん、「アメリカ人ってわけわからん!」というのが評者の正直な感想。たとえばブラッドベリにもこういう「イヤなアメリカ人」の体臭を嗅ぐことがあるけどもね。

No.1 5点 こう
(2008/07/22 00:34登録)
 ハヤカワ文庫から出ていた小説ですがミステリというよりもファンタジーノベルなのかも知れません。佐藤圭氏の「100冊の徹夜本」という海外のマイナーな作品ばかりを集めたガイド本で推薦され読んだ作品です。
 職場でうだつのあがらない、妻ともうまくいっていない男性が主人公で魔法のコインを手に入れるとそれがパラレルワールドへの入場券(?)となっていてその世界では主人公は非常に優秀で家には美しい妻がいて、こちらの世界でも本当の妻と会い、というありがちなストーリーです。
 ミステリ的展開はありませんので興味は最後どのように話がまとまるか、という点ですが、あまりににもありきたりの結末でした。ただその結末に至る直前の部分にあまりにもばかばかしいというか滑稽としかいいようがない場面がありそこが楽しめれば評価が上がるかもしれません。

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