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ミステリの祭典

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空を見上げる古い歌を口ずさむ

作家 小路幸也
出版日2003年04月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 メルカトル
(2019/08/28 22:47登録)
「みんなの顔が“のっぺらぼう”に見えるっていうの。誰が誰なのかもわからなくなったって…」兄さんに、会わなきゃ。二十年前に、兄が言ったんだ。姿を消す前に。「いつかお前の周りで、誰かが“のっぺらぼう”を見るようになったら呼んでほしい」と。第29回メフィスト賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

竜頭蛇尾とはこの事。フランス料理のコースを注文したら、豪華な前菜の後にメインディッシュとしてお茶漬けが出てきたようなものと言っても良いでしょう。
のっぺらぼうから始まって、奇妙な事件の数々をどう着地させるのか、期待に胸を膨らませていましたが、結局何も分からずに終わってしまうという、ミステリとしてはあり得ない展開に唖然としました。そうです、これはミステリではなく云わば伝奇小説のようなものなのです。それを知っていたら読まずに済んだのにと、今更ながら後悔しています。
突き詰めれば、作者が解説を怠り、これはこういう事なんだと断定してしまえば、読者はそれに従うしか方法はない訳で、それで納得がいくわけがないです。
はっきり言ってメフィスト賞には相応しくない作品だと思います。まあ話としては面白くないこともないですが、あまりにスッキリしない結末にガックリ肩を落としてしまう自分は悪い読者なのでしょうかね。

書き忘れていましたが、クワガタのあの突起物は角ではなく、大アゴですから。そんな誰でも知っているようなことも知らないとは、作家さんも編集者さんも知識量が少なすぎるんじゃないですか。所詮メフィスト賞も玉石混交なんですね。

No.1 5点 こもと
(2008/06/05 02:51登録)
 メフィスト賞って、ミステリ分野の文学賞だと思っていたのですが、そういうワケではないのですね? これは、サスペンスやホラーの色濃い本。

 「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」
 冒頭からぐいぐいと引き込まれていく設定ではあるのだけれど。 でもそれは、「ミステリとして、この謎にどのような解がつくのだろうか」という興味があったから。 でもまぁ、これは私が勝手にこの本をミステリだと思い込んで読み、勝手に失望したというだけのこと。 「読み物」として考えれば、十分に面白いのだと思う。

 でも、初めて読む本であるにも関わらず、実は私「この話を知ってる」とも思った。 ノスタルジー漂う空間と、不可思議な謎。 それは、過去に読んだ本と、あまりにも似ているから。
 ちょっと考えてみて、思い当たった本が3冊、何れも恩田陸氏の作品。
(「月の裏側」+「光の帝国」+「Q&A」)÷3=「空を見上げる古い歌を口ずさむ」。
 すべてを読了されている方には、私の気持ちがわかっていただけるかと思う。
 そして、ここから導き出される結論。

 「あぁっ! また、終わり方がハッキリしない~!」

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