home

ミステリの祭典

login
わが王国は霊柩車
マローンシリーズ

作家 クレイグ・ライス
出版日1965年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 mini
(2015/03/16 09:57登録)
「わが王国は霊柩車」はライスの没年と同じ年に発表された作者最晩年の作の1つ、ただし遺作ではない
後に同年発表の「マローン御難」があるし、亡くなった翌年には未完の遺稿をエド・マクベインが補完した「エイプリル・ロビン殺人事件」があるからね

ライスは都会的な雰囲気の中で錯綜したプロットをテンポ良く読ませるのが持ち味だ
一般的なミステリー作家、特に本格派系だと初期には複雑なプロットなものを書いていても中後期になるに従いプロットが単純化されてくる例はよくある
しかしライスの場合は最晩年になってもプロットの複雑さがあまり変わらない、いやそれどころかこの「わが王国は霊柩車」になると複雑さが増している感さえある、まぁテンポは若干緩やかになったかな感は有るが
問題はプロットが複雑なのは作者の仕様だから良しとして、ちょっとグダグダ感が有る事だ、複雑なのに緻密な感じがしなくてプロットの緩さを感じるのである
そう考えると複雑なプロットの中にユーモアと緊迫感を両立させていた初期の「大はずれ」と「大当たり」の2作はやはり傑作だったのだなと思わずにはいられない

No.1 6点 nukkam
(2014/10/22 18:51登録)
(ネタバレなしです) 「第四の郵便配達夫」(1948年)以来久しぶりに発表されたマローンシリーズ第10作の本格派推理小説です。ライス最晩年の1957年の作品ですがプロットは結構複雑で、第8章でマローンが「1つの名前の5人の女、3つの声の1人の女、2つの名前の1人の男、2人で1つの名前の1人の男」と述べているようにやたらこんがらがった人間関係に読者は振り回されてしまいます。ライスの筆力だからこそ読ませます。このシリーズとしてはアクションは地味な方ですが、それでも次から次に状況変化があってこちらはふらふらです(笑)。

2レコード表示中です 書評