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ミステリの祭典

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背筋の冷たくなる話

作家 谷甲州
出版日2000年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2008/05/31 23:38登録)
山岳冒険小説、SF小説の旗手、谷甲州が手がけたホラー短編集。この作者には珍しく、日常を舞台にしたものが多かった。

収録作の中では「鏡像」と「三人の小人と四番目の針」が個人的には好き。
まず「鏡像」は恐らく誰もが子供の頃に抱いた鏡の向こうには鏡の世界があるといった原初体験を扱っているのが面白い。
「三人の小人と四番目の針」はよくもまあ、こういうことを考えたものだと感心した。時計の針をそれぞれ家族構成に当て嵌め、語る様は非常にしっくり来ていて面白かった。

谷氏が山岳冒険小説やSF小説だけじゃなく、こんなのも書けるぞ!と高らかに唱え、証明した事が本短編集における収穫だろう。特に子供を主人公に書かせるとこんなに面白い物が出来るのかと驚いた。この路線の作品ももっと読みたい。

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