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ミステリの祭典

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ふたたびの虹
ばんざい屋シリーズ

作家 柴田よしき
出版日2001年09月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2010/06/24 23:55登録)
優しく暖かい、そして切ない連作短編集。
舞台は東京は丸の内にある小料理屋「ばんざい屋」。
京風の「おばんざい」に誘われて夜毎集まる客たちの、ある時は悩みを聞き、ある時は客の持ち込む謎を鮮やかに解く女将の、安楽椅子探偵ぶりを情感豊かに描く佳作。
それぞれの短編の読後には何かしらの余韻を残すヒューマンスミステリであり、あくまで優しく、しかしどこか芯の強さを感じさせる女将は魅力的である。
女将の恋の行方も気になるところだ。
また、タイトルにも秘密が隠されている。

No.1 8点 こもと
(2008/05/19 23:08登録)
 いいですよ~、この本♪ 実は、私にとっての柴田よしき作品ベストです。 季節を意識した「美味しい料理」と「謎」を楽しめるという安楽椅子型のこの設定が、私のストライクゾーンど真ん中なんですね(笑)

 でももちろん、この本の魅力はそれだけではなく、一口に言えば、そばで一緒に話を聞いているかのような「居心地の良さ」なんです。 日本酒などちびちびとやりながら、ぽつりと呟けば、女将が微笑みながら話を聞いてくれる・・・彼女の笑顔とおばんざいには、人の緊張した糸を緩ませる力があるのだと、納得させる上手さは、さすがのストーリーテラー柴田氏です。

 北森氏の『香菜里屋』シリーズを初めて読んだ時、実は私の頭には、真っ先にこの作品が浮かびました。 和と洋、女将とマスターという違いはあっても、根底に流れる温かさは、同じものだと思いましたから。 もちろん、どちらもオススメ作品です。

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