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ミステリの祭典

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ダイアルAを回せ
ヘンリー・ターンバックル部長刑事もの、私立探偵カーデュラもの ほか

作家 ジャック・リッチー
出版日2007年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2020/09/12 20:34登録)
河出文庫で読んだ「カーデュラ探偵社」と「クライム・マシン」がかなり面白かった。ということで単行本の本作にも手を出したというわけで・・・ただし、一部は「カーデュラ探偵社」と被っている模様。
2007年の刊行。

①「正義の味方」=作者らしい洒落た(?)殺し屋小説。ツイスト感は薄いけど、オチというか締めの展開はさすが。
②「政治の道は殺人へ」=これも①と似たテイストなんだけど①よりブラックで面白い。こっちの方がツイストも効いてる。でも、こんな女いそうだな・・・
③「いまから十分間」=これは思わずニヤリとさせられる。まさにツイスト感たっぷりで短編のお手本のような佳作。
④「動かぬ証拠」=これまた最後にニヤリ。追い詰めたようで、実は追い詰められてたってこと。
⑤「フェアプレイ」=またしても互いに殺したい夫婦が登場。ふたりが虚々実々の駆け引きを行った結果は・・・? 油断大敵ってことだね。
⑥「殺人はいかが」=またまた妻が自分を殺そうとしているという考えに支配されてる男が登場。そこに殺し屋が現れて・・・という展開。テイストは結構被ってる。
⑦「三階のクローゼット」=二番底かと思ったら三番底だったという展開。それだけ捻ってるということ。
⑧「カーデュラと盗癖者」、⑨「カーデュラ野球場へ行く」、⑩「カーデュラと昨日消えた男」=以上3編は「カーデュラ探偵社」で既評済。でも久々に読んでも新鮮で面白かった。カーデュラとキャラがそれだけお見事。
⑪「未決陪審」=以下の4編は、ヘンリー・S・ターンバックル部長刑事を迷(?)探偵役とするシリーズから。簡単そうな事件をこねくり回して解決しようとするターンバックル刑事。
⑫「二十三個の茶色の紙袋」=これも⑪と同様。勘、っていうか思い付きで事件を解決しているようにしか見えない。まぁ面白いけど・・・
⑬「殺し屋を探せ」=これも結構捻ってくる。短編らしい佳作。で、結局「殺し屋」は誰?
⑭「ダイヤルAを回せ」=表題作にするほどか?っていう小品。
⑮「グリッグスピー文書」=“ターンバックルシリーズ外伝”のような作品。何しろ事件が起きたのは1863年! そんな過去の事件を無理矢理解決しようとするなんて・・・無茶。

以上15編
さすが、短編の名手と呼ばれるだけある作品。本作は「カーデュラ」や「ターンバックル」など、作者の代表的シリーズの作品も含んでいて、まさにジャック・リッチーを知るための作品という位置付け。
ただ、個人的には過去読了した2作(「カーデュラ探偵社」「クライム・マシン」)の方が上という評価。
でも、十分に楽しめるし、未読作も是非手に取ってみたいと思える水準。
(管理人様に敬意を表します。「続けていくこと」が何よりも重要で大切なことだと思っています。)

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