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ミステリの祭典

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ノヴェンバー・ジョーの事件簿

作家 ヘスキス・プリチャード
出版日2007年11月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2014/09/10 11:55登録)
(ネタバレなしです) 英国のヘスキス・プリチャード(1876-1922)は母ケイトとの合作で心霊探偵フラクスマン・ローのシリーズ(E&H・ヘロンズ名義)なども書いていますが、単独執筆の本書は作者自身の南米やカナダの大自然の中での生活経験を活かして書かれた森林探偵ノヴェンバー・ジョーを探偵役とする1913年発表の本格派推理小説です。16章から構成されていますが実質的には短編集で、第1章と第2章でノヴェンバー・ジョーを紹介し、以降の章は1話完結型のミステリーとなっています(但し11章から16章は1つの中編ミステリーとなっています)。その作風はシャーロック・ホームズの伝統に非常に忠実で、現場に残された証拠からの推理を探偵法としており、舞台となる森林を上手く活かしています。読者が推理に参加できるように伏線を張った本格派推理小説のレベルにまだ達していないのは書かれた時代を考慮すると仕方のないところでしょう。作品間に出来不出来の差はなくどれも面白いですが、どれか1作なら「ビッグ・ツリー・ポーテッジの犯罪」を勧めます。結末は続きを読みたくなるような締めくくりになっていますが、残念ながらこのシリーズの続編は書かれませんでした。

No.1 6点 mini
(2009/02/25 10:37登録)
ホームズのライヴァルの一つで論創社版
創元のシリーズには何でこれがライヴァルの範囲なの?と首を傾げる選択があって、この「ノヴェンバー・ジョー」こそ第Ⅱ期にでも入れて欲しかったな
論創社は今、ホームズのライヴァルたちを企画でやってるが、なかなかいい所を選んでるし、応援してるぞ頑張れ論創社

へスキス・プリチャードはライヴァル作家の中では古参で、へロン名義で書いたオカルト探偵フラクスマン・ロウのシリーズもあってアンソロジーにも採られている
人によってはフラクスマン・ロウものの方を出して欲しかったみたいに言うが、歴史的意義からはやはりノヴェンバー・ジョーだろう
クイーンの定員にもジョーは入っているがロウは入っていない
舞台設定の好みでは閉鎖的空間よりも外光派の私としてはノヴェンバー・ジョーの方が読みたかった
ノヴェンバー・ジョーは”森のホームズ”の異名で昔から知られていた
ホームズ物語にはホームズが現場検証して、足跡や落ちている証拠品などから推論を巡らす場面が多々あるが、ノヴェンバー・ジョーはまさにその部分だけを突出させ最大限に活かしきったシリーズである
まあジョーの才能以外に推理できる内容じゃないから読者が推理には参加できないが、そんなこと言ったら本家ホームズ始めライヴァルのほとんどは似たようなもんでしょ
作者自身が世界を旅した冒険家だったせいか、カナダの森林も魅力的に描かれている
それとジョーは良い奴だな、ライヴァルたちの中で真に友人になって欲しいのはこいつだけ

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