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ミステリの祭典

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風精の棲む場所

作家 柴田よしき
出版日2001年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2011/09/08 00:11登録)
風精と書いてゼフィルスと読ませています。第2章でシジミ蝶の一種をそう呼ぶのだと書かれていますが、元々ゼフュロス(ゼピュロス)とはボッティチェッリの名画「ヴィーナスの誕生」にも描かれているギリシャ神話の西風の神です。それで、話の中心となる家が西風家。
冒頭部分で、浅間寺竜之介が愛犬サスケに、「地図にない村」に行くことになったいきさつを話す部分があります。これには不自然さを感じて、地の文で説明したのではアンフェアになるところがあるからではないかと疑ってしまったのですが、思い過ごしでした。
タイトルにふさわしい幻想的な味わいを持った作品で、謎解きはこぢんまりとまとまっています。トリックの原理はすぐ見当がつきますが、トリック実行の理由や犯人の設定など、全体的には悪くありません。ただ、前半で犯人のキャラクターをある程度はっきり示しておいてもらいたかったとは思います。
しかしこのエピローグは、どうでしょうねぇ。最後2ページぐらいの雰囲気はいいのですが、それでもあまり賛成できません。

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