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ミステリの祭典

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もういちど

作家 矢口敦子
出版日2000年02月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2015/01/03 00:22登録)
心臓移植手術を受けた19歳の慎一は、自分の中に「銀色の影」-ドナーの魂が棲みついたことに気づく。
という発端だけなら、これはファンタジーですが、そのドナーの魂と語り合ってみると、死の状況に疑問があって…とミステリな話になってきます。一方でドナーの魂は結局どうなるのだろう、という疑問も持ちながら読み進んでいったのですが、これが結局釈然としませんでした。最終章で作者が何を語ろうとしているのか、伝わってこなかったのです。魂の意思が明確ではありませんし、心臓移植をしたら必ず魂がついてくるという小説設定とも思えません。心臓病の慎一の心情はなかなかよく描けていると思うのですが。
ミステリとしてはそれなりに意外性のある展開と結末をつけていますが、ミスディレクションがかえって全体的なまとまりを悪くしてしまっているとしか思えないのが不満でした。

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