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ミステリの祭典

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鬼のすべて

作家 鯨統一郎
出版日2001年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2012/06/19 20:23登録)
読み始めてすぐ、警察官たちの描き方にうんざりさせられました。ほとんどの捜査官によい印象を持てなかったのです。セクハラおやじっぽい植田刑事が一番まともに見えるなんて、どうなっているんだか…マンガ風な書き方と言えそうですが、デフォルメされた絵による表現のない小説では、不自然さを感じるだけです。犯人逮捕場面のための伏線も、あまりに適当。
事件自体は、からくり時計の中から被害者の首が出てくるところから始まり、犯行声明、第2の殺人へと、乱歩の通俗長編なみの派手さです。しかし最後には大げさな犯行の理由もきっちり説明してくれます。途中で何回か挿入される犯人視点の部分で、犯人が子どもの頃いじめられたことが明かされますが、最後に明かされるその理由は意外でしたし、説得力もあります。
動機と関連する「鬼」のテーマを生かすためには、もっと重厚で現実味ある作風の方いいと思えました。

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