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ミステリの祭典

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光る地獄蝶
栗村夏樹シリーズ三部作

作家 愛川晶
出版日1996年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2021/05/24 22:49登録)
剣道三段の短大生栗村夏樹のシリーズ第2作。しかし、本作では彼女の剣道の腕前は披露されません。
これまでに読んだ愛川晶の2冊に比べると、シリーズものということもあってか、ストレートな謎解きミステリでした。ただし、犯人の意外性や独創的な殺人トリックがあるわけではありません。私立探偵殺害事件の真相は、ごく当然のものですし、過去の事件は密室ではありますが、毒殺なのですから、不可能性はそれほど感じられません。それより、その過去の自殺と思われた事件の「遺書」の謎が中心です。遺書の中にも出てくる表題の「地獄蝶」とはアゲハ蝶のことであることは、途中で明らかにされます。筆跡鑑定では間違いなく本人のものとされたその文章の持つ意味は、かなり異様なものです。また偽造説の根拠も、専門知識利用とは言え、鮮やか。
ラスト・シーンは、感情的にはそうなるのかなあと思ってしまいました。

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