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ミステリの祭典

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策謀と欲望
アダム・ダルグリッシュシリーズ

作家 P・D・ジェイムズ
出版日1990年11月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2009/02/02 21:22登録)
連続殺人鬼の登場をメインの殺人事件の単なる小道具として扱う辺り、やはり大作家の構成力は只ならぬものがあるなと感心したが、終わってみれば犯人は予想外だったけど、動機としては単純なもの。
いや寧ろ深くまで語られなかったため、抽象的であり浅薄だ。
今回は連続殺人鬼、原子力発電所という2つのモチーフが物語にあまり溶け込んでいなかったように思う。2つの短編を組み合わせて作られた、そんな乖離を感じた。

今回、読んでいて気付いたのはアダム・ダルグリッシュという存在を作者は暗鬱な日常性から解放する導き手に想定しているのではないかということ。悲劇が繙かれた後、関係者それぞれに変化が扉を叩く、その役目を彼が負っている、そんな気がした。

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