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ミステリの祭典

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昨日の殺人
殺人三部作

作家 太田忠司
出版日1991年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2025/09/05 05:16登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表の殺人三部作の第3作となる本格派推理小説です。同年には狩野俊介シリーズや霞田兄妹シリーズが開始されてこの作者のミステリー作家活動は本格的になりますが、主人公が全部異なるためか目立ちにくいですけどこの殺人三部作もなかなかいい出来栄えだと思います。本書の主人公は父親を自動車事故で亡くした西田健一で(事故当時18歳)、自殺をほのめかすような手紙を受け取ったことから自殺の理由、またなぜ同乗していた伯母といとこを巻き添えにしたのかを調べるために父の出自である大塚家へ乗り込みます。「美奈の殺人」(1990年)に比べて本格派としての推理が充実しており、死体が消えて再出現したという謎も提示されますが人間ドラマを描くことにも注力しています。若干ではありますが青春小説としても進歩しています。個人的には三部作で1番気に入っています。ただ事件解決後に起こった(最後の)悲劇で、(例えるなら)自分の子供の身代わりに他人の子供を犠牲にするかのような行動を正当化しているのは納得できませんでした。

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