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ミステリの祭典

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駒場の七つの迷宮

作家 小森健太朗
出版日2000年08月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2020/02/24 22:40登録)
カバー裏の作品紹介では、法月綸太郎が「18禁コミック作家の死にまつわる<見えない人>の珍無類のアイディア」を褒めていますが、どうでしょう。実際にはコミック作家が書いた漫画コンテ中のアイディアで、確かに珍無類ではあるのですが、その漫画にとってさえ、最適な使い方とは思えませんし、小説全体の中ではこのコンテ自体不要と断言してもいいものなのです。
では作中漫画でなく実際の事件のトリックはというと、古くからある方法のヴァリエーションに過ぎませんし、特に国内某古典の華麗さにはほど遠い出来です。密室状況が説明された瞬間に、このタイプかなと予測できてしまいました。書かなければアンフェアだし、書けばすぐばれるというところはあるのですが。
後半の展開は乱歩通俗長編並みのご都合主義ですし、ラスト、想亜羅(ソアラ)の態度豹変は理由不明ですし。まあ『人間豹』等を読むようなつもりで接すれば、少なくとも途中は楽しめるでしょうか。

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