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ミステリの祭典

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見知らぬ妻へ

作家 浅田次郎
出版日1998年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2026/09/21 19:04登録)
“呆然とした沈黙の後に、電話は静かに切れた。”

彼方にミステリの幻影をのぞき見ずにはいられない。 パラミステリの更に半歩手前のような作品が並ぶが、ミステリの視点で読まずにはいられない独特の浅田次郎短篇集。
まるでNSPのようにやさしく柔らかい恋愛と淡い友情が沁みた文章だが、そこへかまやつひろしのような訳知りポイズンが適所々々品よく滴り落ち、ただごとでは済まない小説世界を完成させている。

「中央公園発地獄行きの定期便だ」

ヤクザ社会の絡んだ人情ストーリー残酷篇/ドタバタ篇。 遠い想い出に浸るしみじみ篇/ゾワゾワ篇。 蘇部健一を思わす趣向のやんちゃ作もある。 ラストセンテンスがどうも鼻につくピースがいくつかあるが、一方で最後の一行が予想外のブラック集束でほとんど怪談の域に達した凄い作もあった。 その作だけは充分にミステリ。 最後、八方丸く収めるのに上手いこと考えたな。。(?) 言外の諸々が、深過ぎる考え落ち要素として一気に襲い掛かるのだ。 絶妙に迷彩施されたアノ伏線も効いた!!

踊子/スターダスト・レビュー/かくれんぼ/うたかた/迷惑な死体/金の鎖/ファイナル・ラック/見知らぬ妻へ  (光文社文庫)

表題作は、同作家による有名な「ラブ・レター」と同じく或る目的のための "国際偽装結婚" をモチーフとしているが、本作の方がプロットが複雑で、また違った色合い、複数方向へと伸びる人情哀歌と残酷さとで彩られている。 エンディングは異様なほど沁みる。 最後の数ページを無意識にすぐ読み返してしまいます。

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