消えた探偵 |
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作家 | 秋月涼介 |
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出版日 | 2006年02月 |
平均点 | 4.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 4点 | メルカトル | |
(2014/04/07 22:27登録) 再読です。 様々な神経系の病状を持った患者たちが集まる診療所が舞台。主人公のスティーヴは、例えば部屋の入り口から入って窓から出るといったように、入口と出口が違うとパラレルワールドに陥ってしまうという、強迫観念を持っている。実際過去に、二度それを経験していると自分では信じている。 他の患者たちの症状は様々で、あらゆる強迫観念を持つ者、ほぼ5分で過去の記憶を失くしてしまう者、多重人格、自分がエクソシストで悪魔と戦っていると信じる少女など。 そんな中でスティーヴは死体らしきものを目撃し、誰かに3階から突き落とされるが、九死に一生を得る。しかし、例のパターンでパラレルワールドに落とし込まれてしまい、死体は勿論、犯人も有耶無耶になってしまう。そこで自ら探偵として行動するという、かなり風変わりなミステリである。 正直、ラスト10ページ余りの真相の為に、実に地味な聞き込みや張り込みといった捜査活動を延々と読まされ、いささか退屈を覚える。確かに、その真相は首肯させられるものではあるのだが、そこにいたるまでがあまりにも長かったため、さしたるカタルシスも得られず。 今まで誰も書評を書かなかったのも分かる気がする。というより、誰も読んでないんだろうな。 |