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ミステリの祭典

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決定版 鬼平犯科帳 (1)
鬼平犯科帳

作家 池波正太郎
出版日2016年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 クリスティ再読
(2026/09/03 12:37登録)
ミステリの文脈で触れやすい捕物帳と、そうでない捕物帳があるのは言うまでもないが、触れにくい捕物帳の代表格が「鬼平犯科帳」と「御宿かわせみ」なのは、これはもうどうしようもない話か(苦笑)なので、結構本作やるのも懸案だったんだ。やるからには第一作からやりたいしね。
パイロット版みたいな「浅草・御厩河岸」と連載開始の「唖の十蔵」から始まり「むかしの女」で終わる決定版文庫第一巻である。まあキャラの説明は不要だろうけど、評者何故か今まであまりご縁がなかったな。まあ評者の当時から「オール読物ってお爺さんが読む雑誌」というイメージは昔から強いからねえ(偏見すまん)

でだ、シリーズが安定してくると長編もあるが、基本は短編。しかし、登場人物がかぶっていて、前話の盗賊のその後が次の話で描かれる事も頻繁。もちろん主人公は火付盗賊改方の長谷川平蔵。実在の人物であり、江戸中期の寛政の改革期に、天明の飢饉で江戸に流入した無宿人の取締りに辣腕を振るった人物である。それまでの南北町奉行の警察・裁判権とは別建ての、武装強盗に対する純軍事的警察権を振るった組織である。鬼平本人は若い頃は無頼の生活も送ったが、この頃には温厚篤実な性格と描かれている...というかさ、長期連載の主人公らしくあまり強い色の付いていないヒーローだね。だから事実上群像劇であり、その「まとめ役」といった役回りになっている。

だからそれぞれの話に登場する盗賊や密偵たちのキャラの方が立っている。第一巻では平蔵周辺の家族や同心たちはまだあまり個性が出ていない。友人の剣客岸井左馬之助くらいか。とくにこの岸井と平蔵が稽古した道場の家主の娘の転落を描いた「本所・桜屋敷」あたりが、ミステリ的な興味ゼロだが本シリーズらしい作品になるのかな。まあとはいえ、早い話が悪党パーカーやフレンチ・ノワールにも通じる「悪党ワールド」が舞台であり、盗賊たちが権謀術数を尽くして「仕事」をし、散っていくさまを楽しむ作品ということでもある。この本だと個人的には、平蔵が暗殺者につけ狙われる「暗殺白梅香」と、平蔵の無頼時代に縁があった年上の女の老後を描いた「むかしの女」がノワール小説と同じ味わいで面白い。
(でもさ「本格の盗賊」という呼び方が、「ミステリの本格」と変に混線してしまう本サイトでは、なんか居心地の悪いなw)

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