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ミステリの祭典

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怪物はだれだ

作家 平井和正
出版日1975年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2026/08/16 04:22登録)
(ネタバレなし)
 ショートショートを主体に、作者の軽め~やや軽めの作品ばかり17編を集めた短編集。書き下ろしもあるそうで、じゃあ全17編のそれぞれの初出書誌リストが巻末の解説に欲しいが、そういうのはない。解説担当は、野田大元帥の相方(?)の伊藤典夫で、この人はあまりそういうビブリオグラフィー的に積極的な印象はないので仕方がないか?
 
 中では「ママの性教育(セクササイズ)」が37ページ、「マンモス団地が」27ページあたりが比較的長め。あとは大半が数ページ~十数ページ。

 印象的な作品をいくつか語ると、先述の「マンモス団地」が謎のUFOの飛来後、団地の奧様族が急にお盛んになる話で、時間帯が遅めの1時間もののSFアンソロジードラマあたりで映像化されそうな内容。
「惚れ薬騒動」は、作者の平井和正自身が主人公で、筒井康隆や戸川昌子など、当時の当人の交流があったであろう作家や芸能界関係者も実名(またはそういうイメージキャラ)で登場するメタ的な文壇ものっぽいハチャメチャSF。
「色情狂」は会社に導入された高性能コンピューターに職分を奪われた人事課の要職が、そのコンピューターにセクハラを教えて、電脳的問題社員に変えてしまう話。現在のAI文明の話題に一脈通じるような側面もある。
 最大ケッサクは短めの「虎になる!」で、ある日突然、人格が凶暴な獣人と化した平凡なサラリーマンの無法の数日を描く不条理劇。主人公が気に食わない駅員を半殺しにし(のちに絶命した模様)、それまで一回だけお茶に誘った(気はあるがそれ以上のことはできなかった)同僚の女子社員を強引にホテルに連れ込み、ほとんど犯すように抱きまくるあたりとか、正に平井節のセルフパロディ。最後にナナメの方からやってくるオチも強烈。
 ほかに先に名前が出た筒井的な(?)不条理SFの「トイレの中の潜水艦」など。

 スキマの時間潰しには最適な一冊。最後まで読むと、それぞれどういう対象の読者層を想定して書かれたのか、気になって来るものも多い。やっぱり書誌一覧がほしい。 

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