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ミステリの祭典

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風配図

作家 皆川博子
出版日2023年05月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 虫暮部
(2026/07/22 14:18登録)
 少女が女商人として成長する話。奴隷が割とまっとうな主人の下で鋭い観察眼を磨く話。キリスト教の抑圧が大きな時代のシスターフッドの話。利害が入り組んだ公国の権力争いの話。
 どれもちょっとそういう要素はあるが、総体としてはどれでもなく、じゃあ何の話だったんだろう。
 彼等の “自由意志” の形が現代人と違うのだな、とは思う。記述形式の混乱はそれを反映させているのかも。
 ところで、翻って自分の自由意志だって何かに鋳られてはいないとは言えない。登場人物達の共感出来ない論理は、実は歪んだ鏡に映った私自身である。
 その鏡を見ることこそ、歴史小説の意義なのかもしれないが、しかし他の作家の歴史ものでこうまでの面白さを感じることはあまり無く、やはり何かセンスがフィットするところがあるのだろう。時代考証の上でしっかり書き込んでいるのに、歴史小説に感じがちな重厚さと言う名の鈍重さが皆無なのが素晴らしい。

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