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ミステリの祭典

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夜の喜劇

作家 東川篤哉
出版日2026年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2026/08/16 13:34登録)
著者初の”ノン・シリーズ短編集”(仮)だそうで5編収録されています。内容的には、倒叙もの、アリバイ崩し、密室殺人、挑戦状付きのフーダニットと、バラエティに富んでいながら、作風はタイトルからも察せられるように、作者の持ち味である脱力系ギャグ&ユーモアが健在です。
昔からノン・シリーズの短編集は避けられがちな風潮があって、西村京太郎、島田荘司、東野圭吾といったベストセラー作家ですら、キャリアの初期に2、3冊しか出していない。東野はたぶん生涯で1冊のみ。(ベストセラー作家だかからこそ?かも) 連作短編集だと、読む方はキャラ読み志向で安心感もある、書く方は設定を一から考え無くていい、編集者も売れるから連作を書くよう勧める、といった事情があったのでしょうか? おそらく米澤穂信の「満願」のヒットで潮目が変わったのでしょう。最近はノン・シリーズの短編集がぼつぼつ出るようになりました。
さて前置きが長くなりましたが、個別の感想は下記の通りです。

「鳥越さんは立派な被害者」は、作者の作品で最近目立って増えてきた倒叙もの、悲惨な笑える話は、やはり犯人視点が効果的なのだろう。コロンボ風のオチもグッド。
「アリバイのある容疑者たち」は、田舎のローカル線を小道具にし”読者への挑戦状”が挿入されたフーダニットものですが、多重解決的なプロットで読者をとことん翻弄させる凝りに凝った作品です。余詰めの潰し方もなかなかです。
「どうか僕を占ってください」は、カリスマ占い師に恋愛相談に来て殺人事件に捲き込まれた主人公という、割りとありがちな話でトリック的にもイマイチと思っていましたが、最後の主人公のセリフがジワる。
「暮林紅子の誤算」は、密室殺人を扱った倒叙ミステリで、ブリテンの例のパロディ短編をより複雑にして捻ったような作品です。
最後の「陽奇館(仮)の密室」も、倒叙✕密室モノだが、最終的に明かされる密室トリックは.、叙述の技巧でカムフラージュされてはいるものの、「あとがき」を読むと、もはや作者も読者からのツッコミを待っている感さえあるw

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