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ミステリの祭典

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暗闇からきた恐喝者

作家 ハドリー・チェイス
出版日不明
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2026/07/16 16:18登録)
(ネタバレなし)
 1945年半ばのアメリカ。のちに第二次世界大戦の終盤となる時期。「わたし」こと、沖縄の前線で負傷して帰国して予備役となった23歳の青年ジェフ・ハリディは、母型の姓にちなんで「ジェフ・ゴードン」と名乗りながら、とある街のバーでピアニストとして生計を立てていた。そんなジェフはある夜、店内で麻薬中毒の暴漢に襲われる18歳の美少女リマ・マーシャルを成り行きから助ける。偶然にリマが並外れた美声の素人歌手であると知り、ハリウッドで働いた経験もあるジェフは、彼女のマネージメントとなって一山当てることを考えるが、実はリマ自身も麻薬中毒者だった。ジェフはリマを麻薬中毒の生活から回復させ、まともな歌手にしようとするが……。そして11年の時が流れる。

 1960年の英国作品。
 アマゾンの邦訳刊行のデータは不順標示だが、1970年3月6日の初版。評者は77年9月9日の第5版で読了。

 等身大というかいかにも小市民的な野心(ヤマッ気)を抱いた若い主人公が、ファム・ファタールのキーパーソン的な悪女と出会い、運命を狂わせていく。その顛末が歳月を経た二部構成の物語で語られる。
 お話は最大級のリーダビリティかつ、これ以上ないハイテンポで進み、約300ページの紙幅を3時間弱でいっきに読了。翻訳は小鷹信光で、当人は1969~70年にかけてチェイスを3冊訳しているが、これはその最後の長編で、カンを掴んできたのかとにかく読みやすい。悪女リマの啖呵の切り方のセリフ回しなど、ああ、いかにも……という感じでニヤリとさせられる。

 ツイストの多い、正にシーソーゲームの連続のような作品。なのであまり細かいことを言うのはここでは控えるが、大綱としては<誰が最後に笑うか>系の長編で、良い意味で安定した&ソコにちょっとだけ細部の文芸味を感じさせる、プラスアルファの面白さ。
 たぶんおそらく翻案されて、二十世紀のどっかで二時間ドラマになっていそう。確認はしていないが。
 
 職人作家チェイスの面白さのアベレージの高さを考えれば必ずしも傑出した作品ではないが、よく出来た1950~60年代エンターテインメントなのは間違いない。
(まあどっかで引っかかった人が、ソコを突っ込んで引きずり下ろす~低い評価でイイ気になるのもできそうな作品と言う気配もあるが・笑。)

 0.3点ほどオマケしてこの評点。

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