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ミステリの祭典

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矩形の密室

作家 矢口敦子
出版日1998年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2014/06/03 23:04登録)
『家族の行方』の作者なので、「密室」と言っても不可能犯罪の密室のことであるはずがないと思っていたのですが、密室殺人ではないものの、それに近い事件が起こるのにはびっくりしてしまいました。ただしタイトル自体は作中作の短編『四角い狭い部屋』を始めとしていくつかの意味にとれます。
まだ本作が2作目なので、はっきりとは言えませんが、すっきりとしない不確定な感じが残るところは、この作者らしいのではないでしょうか。しかし本作は基本的には本格派仕立てになっています。実際に殺人らしき事件が起こるのは、全体の2/3を過ぎてからですが、最後に登場人物たちが集合して謎解きが始まるなんて、いかにもな感じです。
思わせぶりなプロローグの後、第1章からはほぼ一貫して40歳ぐらいの女性の視点から語られますが、この人があれこれ推測をめぐらすのは、鬱陶しいだけという気がしました。

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