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ミステリの祭典

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家族の行方

作家 矢口敦子
出版日1994年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2012/04/09 21:35登録)
創元クライム・クラブ版の解説では、本作を「地図を持たずに踏み込むべき」とし、余計な前知識なしで読むことを勧めています。しかし、むしろ多少前知識を持った上で読み始めた方がいいのではないかと思います。その方が、ある先入観に捉われることなく読み進めることができるからです。
その先入観とは、「ミステリ」であるということ。解説は最初の7行だけでストップし、すぐに作品を読み始めたのですが、それでも通常のミステリ(社会派やサスペンスも含む)とは異なる感触、具体的には事件以外の人間関係要素が多いことには、早い段階で気づきました。そしてその感触は、結局最後まで続きます。
個人的にはこういったタイプの小説は好きで、最終的な決着もこれでいいとは思うのですが、当然「ミステリじゃない」という意見も聞こえてきそうです。実は、論理的に絶対ここは怪しいにもかかわらず、全く言及されていなかったところがあったのだけは、不満でしたが。

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