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ミステリの祭典

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ファイア・ドーム

作家 辻村深月
出版日2026年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2026/07/29 23:39登録)
 1994年、L県蒔戸市でデパートの受付嬢の誘拐殺人事件が起きた。犯人は逮捕され事件は終結したが、全国的に注目された事件の熱にあてられた地元民たちは、同時期に蒔戸市で起きた小学生の事故死と誘拐事件を結びつけ、「被害女性が小学生を轢いたのではないか」などという事実無根のありえない"噂"に沸き立ち、それに乗じたマスコミ報道も過熱した。
 それから25年、誘拐殺害事件の被害者家族の小学生の息子が、またもや行方不明に。「なぜ、うちばかりが―」被害者家族の苦しみをよそに、再燃する憶測と噂。だが、この事件がやがて過去のすべてを暴き出す―

 今、どの書店に行っても作者渾身の一作ということで平積みされている本作。
 上下巻計900ページの厚みだが、動的な展開が続く高いリーダビリティで、数日でイッキ読みできる。


<ネタバレ>
 25年前の事件で娘(受付嬢)を殺された戌井家の孫息子・光汰朗の行方不明を皮切りに、さまざまな事象が絡み合って展開していく前半、そのことが端緒となって25年前の真相に迫っていく後半と、幾重にも重ねられた構成の面白さは見事で、「一粒で何度もおいしい」展開にはなっている。
 光汰朗が発見された際の「勘違い」と、その真犯人の意外性はなかなかで、そからさらに蒔戸市の物語が深化していく筋書きは素晴らしかった。
 登場人物の衝撃や怒り、痛切な思いを描く心情描写が連発され、さまざまな言い回しを駆使しているところはさすがだが、あまりに頻度が高いためだんだん重みが薄れてくる(慣れてきてしまう、食傷気味になってしまう)感じはあったが、最後まで力のあるストーリーだったことは間違いない。
 “無責任で暴力的な噂”という本作のメインテーマに、大人の噂や風評に惑わされず友情を育んでいく小学生たちの物語や、新聞記者や刑事の矜持の物語などさまざまな物語が付加されることで、非常に厚みのある一作となっていた。

 ただ、「デビュー22周年記念」って… 笑

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