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ミステリの祭典

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隣人

作家 シャロン・ボルトン
出版日2026年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2026/07/15 14:16登録)
イングランド北西部の湖水地方の閉ざされた村。三つの棟が連なるテラスハウスに住む「わたし」は、隣家に移住してきてパン屋をオープンしたアナに近づき、やがて毎年催される教会の怪しげな集会堂から逃げてきた少女を助けるうちに、二人は共に多数の信徒が集まるキャンプ場に興味を持ち、過去に起きた複数の少女の変死に気付く。
一方、一年前のドーセット州では教師を刺した17才の少年が精神科医の女性に執拗に付きまとっていた。どうやら少年はアナと何らかの関係があるように思われるが…………。

いわゆる”信頼できない語り手”による多くの騙りに満ちたサスペンス・ミステリですが、信頼できないのは名前が出てこない語り手の「わたし」だけではなく、隣人のアナをはじめとして表面上の顔が終盤になると次々と変転していく。読者の先入観、思い込みを利用したサプライズが連打される終盤の演出はなかなかのものです。ただ正直なところ、全600ページのうち400ページぐらいまでは、展開がモタモタしている感じがあって、完成度とリーダビリティの点では前作の「身代わりの女」には及ばないかなと感じていました。不穏な雰囲気の村ホラーに、サイコ・スリラーの要素が加わり、最終盤の教会キャンプ場の「ヘルハウス」の場面は圧巻と言えます。巻末解説で川出正樹氏が表現している「嘘を絵筆に秘密を絵具に描かれた大胆かつ巧緻な騙し絵」はまさに言い得て妙です。

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