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ミステリの祭典

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後宮の呪術妃

作家 白川尚史
出版日2026年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2026/06/30 12:01登録)
漢軍に一族を滅ぼされた翠玉は、敵討ちのため後宮に潜入するも、病床の皇帝に近づく機会は訪れず絶望していた。
一方、若い女性文官の雪花は、妃嬪の葬儀の様を記録中に遺体の首が切断され別人の頭部が縫い合わされいることを指摘するも、相手にされず逆に高官の怒りを買ってしまう。命を落とす処罰を免れるには、いま後宮で頻発している妃嬪の急死・失踪事件の情報を集めることで放免されると、若い官吏・明達から助け船を出される。「事実を記す」を信念とする雪花は調査を開始するが………。

このミス大賞受賞のデビュー作「ファラオの密室」に続く第2作は、古代エジプト文明に替わって、古代中国(後漢時代)の宮廷を舞台にした、ダブル・ヒロインを主人公とする後宮ミステリです。雪花の父親の冤罪・獄死のもとになった不可解な殺人事件の謎解きや、首の差し替えなどのミステリ要素はあるものの、毒殺や呪術を使った謀略が渦巻く伝奇小説風のプロットなので、読者の嗜好によって評価は大きく変わりそうです。況してや、中盤すぎには、額に呪符を張り付けた跳び歩く死体、咷屍(いわゆる「キョンシー」)の集団が出てくるは、意外な男女のロマンスが事態を複雑にしたりで、まさに「カオス状態」になります。この時代は、皇帝は傀儡で皇太后が実質的にトップ、外戚や宦官が権力を握っていた謀略小説モノに打ってつけな舞台なわりに、そちらの方面にさほど拡がらなかったのは残念です。

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