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ミステリの祭典

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扉の影に誰かいる

作家 ジャック・ロベール
出版日不明
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2026/05/25 19:07登録)
(ネタバレなし)
 1967年のフランスの港町ディエップ。そこに住む「私」こと42歳の小説家ルイス(ルイ)・ジョフロワは、パリの兄に会いに行くという31歳の美貌の妻ビュスを見送る。だがルイは、ビュスが実はパリにいる愛人に会いに行くことをひそかに確信していた。妻が去った直後、自宅の前に、30歳代の記憶を失ったと称する青年が来訪。彼を自宅内に迎え入れたルイは、青年を「ユリス」(ユリシーズに由来)と呼び、ある計画を講じる。

 1967年のフランス作品。
 物語の舞台を英国に、主人公の職業を作家から精神科医に変更してアンソニー・パーキンスとチャールズ・ブロンソンの主演でフランスで製作された劇場映画(71年)の原作。小説は映画の日本公開に合わせて同71年に翻訳された。

 怪しく危なげなタイトルが昔から気になっていた作品だが、いまだ映画は観ていない。
 じゃあ先に原作を読もうと思って、古書で帯付きの状態のいい一冊を手頃な値段で購入。昨夜読んだ。

 本文一段組で級数も大きめの活字で200ページ。標準的な、あるいは気持ち長めのフランスミステリだが、意外に仕掛けの手数が多い、トリッキィな作品。

 腹に一物抱えながら浮気妻(?)を送り出した中年作家の主人公が、怪しげな記憶喪失の青年を自宅に迎え入れる前半の時点から物語の掴みは確かだが、さらに中盤以降も、一人称の話術の巧みさで読者を乗せていく、そんなドライブ感にも並々ならぬものがある(なお、読者視点で不審を覚える箇所がたぶんあると思うが、そこは……ムニャムニャ)。
 で、そんな物語の流れに付き合っていくと……! ! ? ? !

 いわゆる「二度読み必至」な内容で、けっこうキワドイ(アンフェア気味? な)叙述もあるとも感じたけれど、本作はそこが楽しみどころなので、文句を言うのもヤボではあろう。
 あとはそれぞれの読者がどこまでオッケーで、どこからダメか、だね。
 自分はトータルで、なかなかいいんじゃないの、と思った方。
 まあ(中略)という、話の構造的な弱点はあるかもしれないが。

 古書店とかで安く見かけ、あらすじを読んで面白そうかな? と思ったら、試しに一度読んでみてください。

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