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ミステリの祭典

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乾いた季節

作家 三好徹
出版日不明
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2026/05/22 05:31登録)
(ネタバレなし)
「東洋新聞」社会部の遊軍記者で33歳の門田は、近づく選挙戦を前に各々の政治運動をする立候補者たちの間を記事ネタ探しに飛び回る。そんななか、彼は60歳の不動産業者で民友党の立候補者・堀越栄造の周辺にただならぬ気配を認めた。やがて堀越の若い妻・29歳の美也子が何者かに誘拐されたらしいと知った門田は、さらなる調査を進めるが、警察側は報道の自粛を求めた。そんななか、事態はさらに次の局面にと。

 事情通のミステリファンには有名だと思うが、劇中のアイデアのひとつが同時代の別作品と類似性があったため物言いがついた長編。暗合の事実は本当に偶然だったらしいが。その辺の事情もあって、作者は元版(昭和37年12月 河出書房新社)だけで封印した作品のようである。その後、文庫などでの再刊もされていない。

 で、十年くらい前にヤフオクで購入した本が乱丁(同じ折が重複して製本されていた)だったため、出品者から返金してもらい、さらに返送不要と言われたので、そのキズ本が手元にあった。そのうちその欠損していた頁の正規の分だけ、国会図書館経由などのサービスでデジタルコピーでもしてこようか? とずっと思いながら放っておいてあった(汗)。
 そしたら、今から一年ほど前の古書市でマトモなのが550円で見つかったので、そっちを再購入。で、今夜ようやく読んだ。

 一段組、大き目の活字で全部で250ページ弱。しかも三好徹の簡素な文体だからサクサク読める。
 で、中味の方は、終盤までなかなか事件の実態が見えず、どーなるんだ、これ? と思っていたら、かなり強引な手際を2つ3つ使ってまとめに入った。トリッキィといえばトリッキィな作品ではあるが、正直あまりこなれはよくなく、しかもつまりソレとソレの同時多発? って偶然、あるいはそこから始まった? も明らかにならないまま主要人物が(中略)してしまったり、やや、う~ん……、な出来。
 アイデアそのものにはもっと使い方次第で伸びしろがあったのに、作者の練り込みが不十分で秀作になりそこねた作品、という感じ。
 逆に言えば得点要素だけ拾えば、なんとなく良作のように思えなくもないのだが。

 評点はそれなりにオマケしてこの数字で。
 5点と割り切るにはちょっとキツイのは確か、ではある。 

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