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ミステリの祭典

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カーラの選択
原案 ジョン・ル・カレ

作家 ニック・ハーカウェイ&ジョン・ル・カレ
出版日2026年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2026/05/15 14:12登録)
1963年のロンドン。モスクワ・センターが送り込んだと思われる暗殺者が、任務を途中放棄し警視庁に逮捕される未遂事件が起きる。同時に、標的だった初老の文芸エージェントが姿を消した。
英国情報部「サーカス」を指揮するコントロールは、この事案に対処すべく、ベルリンの壁を挟んだ熾烈な諜報戦の、あの悲劇的な結果を受けてサーカスを去ったスマイリーを呼び戻す。

ジョン・ル・カレによるスパイ小説の古典的名作「寒い国から帰って来たスパイ」の続編的エスピオナージュ。息子のハーカウェイによる作品で、ジョージ・スマイリーとその仲間たちをわりと忠実に再現していて、往年のファンなら楽しめる。(なお、表紙やAmazonのデータは二人の共著のような連名表記ですが、ル・カレは設定の原案者であり、本作の執筆には関与していません)
先に作者ハーカウェイの怪作・特殊設定のSF私立探偵モノ「タイタン・ノワール」を読んでいたので、不安がありましたが、物語の滑り出しの数ページを読んで、文体にはほとんど違和感がなく、しっかりとル・カレしていたので安心しましたw 、 あと「寒い国から~」の主人公アレック・リーマスの運命を始め、同作の核心部分に触れた描写が頻繁に出てくるので、未読の場合は先に読んでおくことをお勧めします。
さて、プロットのほうですが、後年の「ティンカー、テイラー〜」の時の、ソ連の諜報指揮官カーラの工作によるサーカスの深刻な事態とは違って、今回は引退したスマイリーを呼び戻す状況にそれ程の説得力がないのが気になります。まあ、途中からはピーター・ギラムに任せば良いのでは?という感がありますね。
消えた男、ハンガリーからの移民でソビエトの昔の諜報員ローカの行方を追って、残された手掛かりと元秘書の証言を元にベルリン、ウィーン、ブタペストと東欧諸国を飛び回る活動的なスマイリーが新鮮でした。

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