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ミステリの祭典

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微笑する悪魔

作家 多岐川恭
出版日1984年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2026/07/03 13:50登録)
1984年に光風社から出たノン・シリーズ作品8編を収録した短編集。書誌情報が掲載されていないのでよくわかりませんが、比較的古い作品をまとめたような感じがあります。
裏表紙の内容紹介がやや抽象的ですが、男女関係の軋轢を背景に、様々な罠が仕掛けられた犯罪小説が中心になっていて、表題作の「微笑する悪魔」や「地獄へ行け」なんかが典型的です。気弱な男と多情で強かな女の組み合わせというパターンが多い。ただ意外に定型を外し、読者の先入観の裏をかくテクニカルな作品もあります。印象に残ったのは、色仕掛けで銀行の支店長と融資課長を騙すコンゲーム風の「柔らかい唇」、初期のトリッキーな作品を思わせる「窓の死神」あたりです。
多岐川恭と言うと、1958年の短編集「落ちる」収録の表題作ほか3編で直木賞を取っており短編の旨さには定評があるものの、1960年代前半の面白そうな短編集が文庫化もされず、ことごとく絶版・入手難の状態なのが残念です。2018年に日下三蔵編の中公文庫で「落ちる」と「黒い木の葉」の最初期作2冊のカップリングで傑作選が出ていますが、「死体の喜劇」「悪人の眺め」「夜の装置」の収録作など、まだまだ傑作選の続編の余地がありそうです。

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