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ミステリの祭典

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ダンデライオン

作家 中田永一
出版日2018年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2026/05/05 12:54登録)
 ネタバレあり。タイム・リープだけどパラドックスものではないので助かった。登場人物が限られているので真相を見抜き易いのが欠点。でも中心は犯人探しよりも “ミッションの遂行” だからまぁ良し。

 ……なんて思ったけど、仕掛けはその先にあった。SFの設定を持ちつつ構造はミステリに近い、と見せかけて実は丸ごとパラドキシカルなSFの謎で包み込んでみせたのである。
 彼は自分宛の手紙を書きながら自問する。“この文章は、だれが最初に考えたことになるのだろう?”。同じ疑問が “彼と彼女の関係そのもの” についても言えるではないか。二人はどうやって知り合ったのだろう?
 タイム・リープのせいで予め知り合い同士として発生してしまった二人を、物語の力でパラドックスに見せずに描くこと――。
 作品の真意はそんな矛盾した挑戦だ。時間SFなら定番の謎だけどね。
 作者は承知の上で、読者が自力で気付くかな~と北叟笑んでいると思う。壮大な引っ掛けである。

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