home

ミステリの祭典

login
溺れる女

作家 笹沢左保
出版日1992年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2026/04/19 12:09登録)
(ネタバレなし)
 昭和40年代前半に雑誌掲載(それも小説専門誌ではなく、女性誌や若者向け雑誌が大半)された11本の短編を集成した光文社文庫オリジナルの短編集。なかにはミステリとは言い難いものも入っているが、全編が男と女の関係を主題とする作品群である。総ページ数が260ページちょっと。それを11篇で割ると平均して一本の長さが20ページ強と楽に読めて、作品によってはそこそこの手ごたえもある(まあ、そこまでの評価に見合う作品は、あんまり数は多くないのだけれど)。
 広義でいえば『六本木心中』の系譜の作品ばかりではあり、その意味では作者の持ち味のひとつは確かに感じられる。
 スレッサー風の仕上がりの「霧の夜」が割とミステリっぽいが、切なさで読み手の心にフックをかけようとする「望郷の夜」「夕映えは死んだ」「夜は明けない」などが良い意味で本書のスタンダード。「別れのテクニック」は実践論的なエンターテインメントとでもいうべきか。
 これはこれで価値のある一冊であった。

1レコード表示中です 書評