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ミステリの祭典

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法月綸太郎の不覚
法月綸太郎シリーズ

作家 法月綸太郎
出版日2026年04月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 5点 虫暮部
(2026/06/09 13:37登録)
 『キングを探せ』でやったからもういいじゃないか。アレは成立条件が限定的だから、あくまで “特殊なケース” だと私は思う。一つの世界線でこんなに幾つも発生している様(しかも同じ本に収めちゃうし)はとても奇妙だ。

 ネタバレありで「心理的瑕疵あり」について。脅迫者を殺すのはリスキーなのである。
 スマホ・パソコンを持ち去ったからと言って、バックアップの存在可能性を否定は出来ない(実際あった)。もし作中で言うところの “グレーリスト” にもっと詳しく記されていたら、脅迫のネタはまるまる警察に知られてしまうから、殺す意味が無い。つまり警察が被害者の周辺を調査するのは極力避けたい。事故に見せ掛けるか、死体を隠して行方不明(被害者の逐電)で済ませるかしたい。自殺に偽装してはいるが御粗末なものでアッサリ見抜かれている。
 「次はあんたの番だよ」にも脅迫者殺しがある。総じて “犯人が最後まで考え抜かなかったので、そういう犯行様態になった” ようで、いや、それならそれで良いが、作者がそこに気付いてなさそうなんだよね。

No.3 6点 まさむね
(2026/05/24 20:35登録)
 4篇を収録した中短編集。いずれも構図の転換が読みどころなのですが、構造が結構複雑で面倒に感じてしまう方もいるかも。
 マイベストは、オカルト的な色合いもある「次はあんたの番だよ」か。元々犯人当て目的で書かれた「心理的瑕疵あり」と「被疑者死亡により」の転換も見事。最終話「平行線は交わらない」については、ちょっと思考の展開が追い付かないというか、追いかけようとしなくなってしまった私を許してください。今の時代と自らの作風についても語っている「あとがき」も興味深かったです。

No.2 6点 kanamori
(2026/05/19 13:28登録)
法月綸太郎シリーズの連作短編集としては「〜の消息」以来、7年ぶりぐらいの出版のようで、まあ「消息不明」にならなくて良かった。本作には短編3篇と書下ろしの中編が収録されています。

消去法推理なり伏線の回収なり、ロジック展開を重視する作風なので、まわりくどい説明や、短編の割には複雑な人間関係のものが多く、中にはなかなか本題に入らない作品もあって、初期の頃のキレはあまり感じません。
始めの2編「心理的瑕疵あり」と「被疑者死亡により」は、共に他のアンソロジーで読んでいたので、かえって作者の技巧を再確認する事が出来て良かった。後者の隠されていた構図はなかなかお目にかからないパターンなのでは。
初読の「次はあんたの番だよ」は、ホラーテイストの味付けが効いていて、個人的には好みの作品です。
作者の「あとがき」にも、それらしき趣旨の言及がありますが、長編の「キングを探せ」の影響なのかどうかは分かりませんが、同じミステリ趣向を色々とひねくり回したり、別のアプローチで改変した仕掛けがあって、それが収録4作のうち3編に出てくるのは、さすがに気になります。

No.1 7点 ことは
(2026/04/29 18:09登録)
久しぶりの法月綸太郎の短編集。安定した面白さだ。
事件の進行をリアルタイムに追うのではなく、法月親子の会話などを通して事件の全体像がまとめて質疑されるので、短い紙幅の中でもかなり複雑な事件の構図が語られる。そのかわりキャラ立ちに割かれる記述は少ないので、キャラ読みはまったくできないが、謎と考察については極めて密度が濃く、それを期待するならば実に楽しめる。
ただ、短編集全体でみると、本人があとがきで書いているように、「思考のトラック」が狭くなっているのは、少し残念なところ。また、どれも複雑な構図を切り替える話なので、法月短編の代表作「都市伝説パズル」ように、“切れ味”によって長く記憶に残るタイプではない。(複雑すぎて忘れてしまう)
そのため、「新冒険」、「功績」のような”文句なしの好短編集”というわけにはいかないかな。
各短編の寸感。
「心理的瑕疵あり」 かなり変わった手がかりから、風変わりな構図を導き出す。あとがきによると、「犯人当てとして書かれて、当てた人がいた」とのことたが、当てる人もすごいな。
「被疑者死亡により」 この構図の切り替えには、かなり意表をつかれた。本集のベスト。
「次はあんたの番だよ」 ホラーテイストが法月作品ではめずらしい。この構図の切り替えも好み。
「平行線は交わらない」 綸太郎が、事件の考察の配信を検討するのは、ちょっと新鮮。展開は好みだが、動機は強引な気がする。

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