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ミステリの祭典

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拝み屋怪談 来たるべき災禍

作家 郷内心瞳
出版日2017年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2026/04/04 22:32登録)
虚実の境が見えなくなってしまった時、人にとってあらゆるものが、怪異となり得る危険を孕んでしまう――。現役拝み屋が体験した現世のこととも悪夢とも知れない恐るべき怪異。すべてのはじまりは20年以上前、ある日曜日の昼下がりに出会った一人の少女だった。その少女、14歳の桐島加奈江は果たして天使か怪物か、それとも……!? 訪れた災禍を前に恐れおののく一方で、必死に解決を図ろうとする拝み屋の衝撃実話怪談!
Amazon内容紹介より。

『壊れた母様の家<陰>』『壊れた母様の家<陽>』を読むには本作を読んでおいた方が良いとの意見がSNSで幾つか見られましたので、『花嫁の家』の再読と共に漸く読了しました。正直、今のところ別に読まなくても良かったのではないかと思っています。まあ取り敢えず先に進んでからその結果も書きたいと考えているところです。

さて本作は拝み屋郷内心瞳自身が体験した怪談であり、彼自身の物語でもあります。著者の心の中に棲み付く桐島加奈枝は果たして幻想なのか、実像を持った何かなのかが最初から最後まで延々と描かれています。郷内が様々なシチュエーションで加奈枝に救われたり、危険な目に遭わされたりと敵か味方かも判然としません。その中で彼は模索し煩悶します。こんな辛い目に遭いながら拝み屋など出来ないとまで思い詰めます。読者もそんな彼の心の揺らぎを嫌と言う程追体験することになります。箸休め的に他のサイドストーリーも少しは味わいたいものですが、それは叶いません。拝み屋の心の内を赤裸々に描いている為、読み手側も心理状態が不安定になりそうです。なかなか冷静ではいられない陰隠滅滅たる心境になりたい方にはお薦めしますが、気軽に読書を楽しみたい方には決してお薦めしません。

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