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ミステリの祭典

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悪党たちのシチュー

作家 ロス・トーマス
出版日2026年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 kanamori
(2026/03/04 09:12登録)
落ちぶれていた辣腕ジャーナリストのシトロンは、くせ者政治屋のヘールに雇われる。現政権の大きな弱みともなるスキャンダル情報を入手すべく、協力を求められたのだった。勇躍、中米の軍事国家ヘと調査に向かったシトロンは、隠蔽されていた同国での過去の不祥事の内実を探りにかかるが…………。
あらゆる面白さをごった煮(シチュー)にし、思わぬ展開と粋な対話で編み上げた、騙りと企みのタペストリー。(裏表紙の内容紹介から)

新潮文庫の「海外名作発掘シリーズ」では3冊目となるロス・トーマスのクライム・ノベル。書かれたのが、エドガー賞を受賞した「女刑事の死」のひとつ前ということで、自然と期待が高まるというものです。
ダブル主人公の一方の政治屋へールが、次期州知事に決まっている人物を、大統領候補にすべく動いている序盤の展開だと、また「ポーク・チョッパー悪徳選挙屋」(立風書房)や「狂った宴」と同タイプの選挙ネタかと思いましたが少し違った。怪しげで個性的な人物が次々と登場する、全く先が読めない展開に振り回されます。特に三人の女性の存在感が際立ちます。マイアミの大富豪で麻薬王の娘ヴェルヴィータ、次期知事の妻でへールの愛人でもあるルイーズ、そしてシトロンの母親で伝説的ジャーナリストのグラディスが強烈。
しかし、300ぺージが過ぎても、上のあらすじ紹介にあるような状況がいっこうに出てこないw 途中でへールが言うように「全て、なにかしらで繋がっている」謀略小説の様相になって行き、終盤は怒涛の展開に雪崩れ込みます。
なお、原題のMissionary Stew(宣教師のシチュー)は、この小説の冒頭のエピソードで、シトロンがアフリカ某独裁国家の刑務所内で食べた物のことでしょうか。

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