home

ミステリの祭典

login
封鎖館の魔

作家 飛鳥部勝則
出版日2026年02月
平均点7.67点
書評数3人

No.3 8点 レッドキング
(2026/06/05 06:23登録)
昨年、十数年ぶりに新作長編で復活し、それがまた、随分と張り切って盛った"大作"で、逆に心配したが、間を置かずに発表された今作は、おお、"本来"の飛鳥部勝則・・暗い美術ネタ、歪んだ情緒、露悪的なキャラ、ぐろコミカルな人間関係、見事な本格トリック技巧・・相変わらずの作者であった。
どんな偽悪的な"イヤミス系"でも女流作家ならば書かない(たぶん)様な・・島荘「占星術」サブねたの性別錯視トリックもそうだが・・そんなネタが、Whyダニット中央に居座っていて、エゲツないナぁ思ったが、考えてみたら、東野「白夜行」の主役男女を貫く重要な主題でもあった。

No.2 9点 虫暮部
(2026/06/01 11:14登録)
 単独で読めば十二分にぶっ飛んだ本格エログロ館ミステリなんだけど、なにしろ『抹殺ゴスゴッズ』の後だから比較的 “普通” に感じてしまったよ。
 顔面切断って厳密な死因は何なんだろうか。顔の皮を剥がしても多分それだけでは死なないよね。頭蓋骨ごと脳が切断されるから? 呼吸や血流の問題? 生存そのものに不可欠なのは顔のどの部分?
 登場人物達の奇矯さの方向性が相変わらずで、(愛読者にとっての)新味に欠けるとは言える。しかしトリックも思想も着地点も地に足が着いている。実は飛鳥部勝則史上最も破綻の少ない正統的長編かも。

No.1 6点 kanamori
(2026/04/17 10:00登録)
人里から隔離された僻地に立ち、増改築を繰返し、多くの開かずの間を持つ歪な形態の「封鎖館」。持ち主や居住者を変えながら、過去、昭和平成の時代に妖しげな殺人や、不可解な事件が起きていたが、令和になって再び血塗れた連続殺人が起きる………。

昨年出たばかりの乱歩の通俗スリラー風の大作「抹殺ゴスゴッズ」に続く作者の復活作の第2弾は、一転して割とオーソドックスな”舘もの”の本格ミステリです。芸術家探偵・妹尾悠二が登場するシリーズの3作目になるのかな。
館の形態からして、いかにも”斜め屋敷”系のトリックが予想出来てしまうのがアレですが、出入り可能な部屋の中での餓死という不可解な事件や、密室の首切断死体、容疑者全員が部屋に封印された逆密室状態の殺人など、魅力的な謎の連打が読ませます。
関係者が画家や彫刻家・画廊オーナーと、絵画教室に来た高校生で、エキセントリックで個性的な人物が揃うのも作者らしい。なかでも車椅子の美少女の豹変ぶりには笑った。
狂言回しというか、二人の語り手がいて、屋敷に長年住み込んでいる物語の中心人物でもある洋画家・館真一と、高校生の小玉正に関して、それぞれ「恣意的な語り手」と、「客観的な語り手」と見抜く妹尾の洞察力がなかなか面白い。

3レコード表示中です 書評