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ミステリの祭典

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正義の申し子

作家 染井為人
出版日2021年08月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 E-BANKER
(2026/01/20 14:07登録)
横溝正史ミステリ大賞受賞作「悪い夏」でデビューした作者の長編二作目。
デビュー作をはじめ、複数作品が映画化されるなど、すでに人気作家となった感のある作者だが・・・
単行本は2018年の発表。

~現実では引きこもりながら正義のユーチューバー“ジョン”として活躍する青年・純。悪徳請求業者に電話をかけ、相手をおちょくったところ大好評。キャラの濃い関西弁男を懲らしめた動画は爆発的に再生数を伸ばす。味をしめたジョンは、男とリアルに会って対決し、それも配信しようと画策する。一方、請求業者の鉄平もジョンを捕まえようと動き始めた。ふたりが顔を合わせたとき、半グレや女子高生をも巻き込む大事件に発展する!~

うーーん。基本的には前作(「悪い夏」)と同じようなベクトルの作品かな。
発表年(2018年)にはすでにユーチューバーも市民権(?)を得ていたんだと思うし、こういう迷惑系もかなりいたなあーという感じがする。
本作も前作同様、複数の主要キャラが登場し、それぞれがそれぞれの「負」の事情を抱えながら、小さな成功や幸せを求め行動しようとする。
ところが・・・。こういう作品では、このようなキャラには試練が与えられるのが定番。ストーリーは悪い方に悪い方に転がっていく。本作では、ジョンにも、鉄平にも、そして彼らの周りの人々にも・・・徐々に不穏な空気が漂っていく。
そして、終盤には「ドーン!」
ということでついに沸点を迎えるわけだ。

ただ、本作の場合、この辺がちょっと中途半端、というか、うーん何ていうか、「下世話」だな。
前作はもう少し突き抜けていたように思う。本作は、漫画的というか「ちょっとした騒動」という程度の事件になっている。
ラストも、良く言えば「うまくまとめた」のかもしれんけれど、悪く言えば「レベルが低い」と評されそうだ。
(ちょっと言い過ぎかもしれんが)

ということで、前作は超えてこなかったなというのが正直な感想。
こういうプロットであれば、もう少しハラハラさせてもらわないとなあー、と感じた次第。

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