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ミステリの祭典

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勝機
新・競馬シリーズ/シッド・ハレー

作家 フェリックス・フランシス
出版日2026年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2026/04/22 15:26登録)
元騎手のシッド・ハレーは、旧知の調教師から、今競馬界で密かに行われているレースの不正行為に関して命がけの告発の電話を受ける。
一方、義手を外し他人の手を移植手術した左手に馴染めず今でも違和感を感じていて、それが原因で妻マリーナとの関係にも暗雲が立ち込めていた…………。

不屈の男、シッド・ハレーが登場するシリーズの通算6作目です。父ディック・フランシス名義で4作(ただし4作目の「再起」はフェリックスが代筆)、版元が文春文庫に移り、フェリックス名義の新競馬シリーズとしては「覚悟」に続く2作目になります。
原題は”Hands down”、文句なしでとか、問題なくといった意味ですが、もともとは競馬レースで、騎手が手綱を強く引くことなく余裕で勝利することから転じた慣用句です。本作の内容とは微妙にずれている感じもありますが、おそらく、「ハンド」の複数形(両腕)が入る競馬用語をタイトルに使いたかったのではと思います。
さて、内容についてですが、家族が事件に直接巻き込まれた前作「覚悟」が明確ですが、「家族愛」がテーマのひとつになっているのがフェリックスの個性と言えるでしょう。本作のラストシーンが顕著です。ただ、スリラーとしてはどうでしょう、探偵社時代の同僚チコ・バーンズに協力を頼んでからの、中盤の関係者から情報収集の過程がテンポが悪く平板に流れていて、往年のフアンはともかく、新しい読者には冗長に感じるのではないかと思います。本作の中心となる舞台、北ヨークシャーにある廃墟、ミドルハム城跡における終盤の対決が唯一の山場と言えるでしょう。

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