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ミステリの祭典

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未館成の殺人

作家 信国遥
出版日2026年02月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 7点 みりん
(2026/09/20 23:44登録)
典型的なクローズドサークル&孤島サバイバルもの。
最初から最後まで一本道で一切無駄な描写がなく、クライマックスまで一気に駆け抜けていくスピード感が心地よい。笠井潔の2倍以上の速度で読むことができる(笑)
作中の選評通り人間が描かれていない(良いことよ)。それは歓迎なんだが、あまりにも小説的余暇というか味気がない。小説というよりアイデア展覧会?しかしそのアイデアが優れているのは間違いない。フェアプレイ精神は薄く、この動機を当てることはほぼ不可能に近いと思いますが、おお…そこで横溝正史の…と妙に納得感はあった。
Amazonの酷評レビューにも頷けるところはありますが、今年の収穫の1つでしょう。

No.3 7点 まさむね
(2026/08/29 10:45登録)
 恥ずかしながら、手に取るまで勘違いしていました。「未成館」の殺人、ではなくて「未館成」でしたか。確かに、館は建っていない。正確には、一部に名の通った建築家・黒澤泰洋が無人島に館を建てようとしたものの、基礎部分のみを残し、本人の行方は不明…という状況。
 大学のミス研のメンバーが無人島に集い、次々に不可解な死が、そして建築家が…という根本設定は、どうしても某有名作品を想定させます(想定というか、本作中にも実際に登場するのだけどね)。ワクワクさせてくれます。
 島に到着するや否や事態は動き出し、島からの脱出は困難に。水が枯渇しかけるというまさにサバイバルな面もあり、グイグイ読まされます。そして終盤の怒涛の展開にも大いに拍手を送りたいと思います。
 一方で、絵解きがなされた後に考えると、いくつかの粗も感じます。とある件を信じて行動した根拠は強引かも。その前提となる格納?の説明も端折りすぎかも(どうなっていた?)。書きぶりの工夫はあったかと思います。ちなみに、海鳥からの被害は無かったのでしょうね。
 とはいえ、全体としては、十二分に楽しく読ませていただきました。

No.2 6点 虫暮部
(2026/06/01 11:13登録)
 あーネタバレしちゃうな。
 どうして未翻訳のロシアミステリの内容なんて知ってたの?
 という疑問は、そのまま謎の密告者にも当て嵌まる。そこがキチンと説明されて美しいと感じた。

 某が皆殺しを企んで、一人を犯人の身代わりにしようとした。この場合、身代わりは生きていても死んでいてもまぁ構わないよね。死亡推定日時が前後すると困るけど、事件発覚までに時間がかかるから、そこまで緻密な検死は出来ないだろう。最終的に某がどう判断するかは読めない。
 もう一人は、身代わりが生かされているとの予測に基づいて、素早く居場所を推定し、そこから救出する為に行動を起こした。推理力は凄いが、それはかなりの希望的観測に則ったもので、結局とっくに身代わりは死んでいた、と言う結末もあり得た。
 と思うんだけど、そのへんの説明がやや強引。ロジックで説明し切れないところまで断定的に語っている。寧ろ、死んでいる可能性も承知の上であれだけやった、と明確にした方がインパクトあるのでは。

 “死体を食べよう” とは誰も言わなかったね。

No.1 7点 メルカトル
(2026/04/28 22:19登録)
X大学ミス研の夏合宿の舞台は、建築家・黒澤泰洋が忽然と姿を消した無人島。島には建設を中断された、奇妙な館の基礎部分だけが残されていた。
ミステリさながらのこの状況を記事にするため、島に降り立ったミス研メンバー。しかし到着早々、本土との唯一の連絡手段だった船が炎上し、完全に孤立してしまう。飢えと渇きで衰弱していくなか、なんとか生き延びようと策を講じるメンバーだったが、ひとり、またひとりと不可解な死体となって発見されるーー。
Amazon内容紹介より。

前半は連絡不能な孤島に取り残されたX大学推理小説研究会のメンバーが、何とか生き残るために水を確保しようと火を熾すことに腐心するシーンが長すぎて、ちょっと飽きるし疲れました。やっと殺人事件が起こったと思ったら、これがまた地味で何だかなあって感じです。つまり本作は問題編はちょっと詰まらないけれど、解決編でグッと盛り返すタイプの典型的な例だと思います。

ただ動機をどう考えるかでこの作品の評価が割れる可能性は大いにあります。実は私も最後の畳み掛ける展開には心奪われましたが、ホワイに対しては完全に納得する事は出来ませんでした。従って採点はちょっと甘目にしてあります。文章に関しては可もなく不可もなく、読み進められます。過去の事件や怪しげな建築家など、見所は幾つかありますがどれも既視感がかなりありますね。

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